今年サーモカメラを購入してから2件の不明者捜索に関わらせて頂きました。
通常の業務と違い気持ちも一杯一杯で途中での写真も無く文章のみになっています。
10月半ばの夕方に要請がありました。
手がかりとして
・高齢の男性
・足が丈夫ではない
・上下白色系の衣服
・家は山間部の開けた尾根にある
という事でおそらく家に近い場所におられるのではないかとの事でした。
通常夜間飛行を行う場合は明るい時間に現地調査を行うのですが、準備が整った時には日が落ちていました。飛行箇所については過去何回か行ったことがあったので、過去の記憶とストリートビューで周囲の状況を確認して現地に向かいました。
現地でも懐中電灯などを使用し飛行発着場所の障害物の確認を行いましたが、幸い何も気になるものはありませんでした。
※夜間飛行の包括申請で許可を頂いております
警察や消防・地元消防団の皆様から捜索エリアをお聞きし、飛行エリアの地形をグーグル・アースで確認して飛行準備を行います。
緊張からか飛行前のチェック項目を何回も確認していました。
まず低空で飛行させ、自分たちにカメラの向きをあわせ今回の状況(森林の中の人間が判別しやすい)にあわせた表示(カラー・モノクロ等)に切り替えます。
その後指定されたエリアの捜索を始めました。
周囲との温度変化が大きかったものとして
・お墓等の石塔
・水が入った入れ物
・小動物
・電柱の変圧器
等がありました。
飛行中には上記のような物を見つけるたびに、無線で消防団の方に連絡をとって頂き地上からの確認を行いました。
当初想定されていたエリアで発見することが出来なかったので、捜索範囲を広げてバッテリー4本分飛行しましたが残念ながら発見することは出来ませんでした。
翌日は朝から捜索に入りました。
サーモカメラによる有効性は前日に確認できましたが、
・日中は捜索者も山に入られているためサーモカメラでの判別が難しい
・日中は周囲の温度も上がるので対象物を視認しづらい
と思われたので可視光カメラ(zenmuse-x3)での捜索となりました。
また不明者は幸い白色系の衣服を着ておられるとの情報だったので、可視光カメラでも山の中では目立つのではないかと思われました。
この日は県警ヘリ・消防ヘリも出動し両者とも長時間捜索をされていましたので、それ以外の時間にドローンを使って捜索を行いました。
飛行させながらモニターでの捜索は見落としもあり難しいため、4Kで録画し飛行後にパソコンの画面で確認する方法をとりました。
HDMIで大型のディスプレイに出力する方法も考えられましたが、バッテリーや車への搭載、飛行毎に発着点を変える等の問題もあり実現できませんでした。
またインターネットを使用した実況も電波状況が悪く解像度も期待できないため諦めました。
最終的には捜索エリアは4km2程度に及びましたが発見することが出来ませんでした。
残念ながら現在も発見されてないそうです。
今回、実際に捜索に参加し感じた事ですが
・夜間でのサーモカメラは捜索に有効である
・葉が茂っている木のような遮蔽物がある場合は発見が困難
・サーモカメラでは対象物が何か確認出来ないものがあるので地上部隊との連絡が必要
・昼間だと周囲の温度が高く捜索に向かないことがある
・不明者の温度が高い事が前提(一早く捜索を開始する)
今回は残念ながら発見する事はできませんでしたが、上記の事をふまえ次回(あってはならない事ですが)の要請があれば全力を尽くしたいと思います。